THE APPLE (1979年、独) 全あらすじ(ネタバレ)  近未来(1979年公開の映画なので1994年)、世界的な人気音楽ユニットを抱えるBIM(Boogalow International Music)社のボスは、世界音楽コンペティション(Eurovision Song Contest)で最高の得点を挙げたフォーク曲を歌ったカナダのカップルの、娘の方をノせて有利な条件で契約し、自社ユニットに加える。  米国(カナダ?)の街では顔にBIM社マークのシールを貼らないと法律で罰金となり、また、誰でも定時にはBIM社の各種放送に合わせて踊らなければならないほどBIM社が仕切っている。  カップルの男はユニットに入った恋人娘に会いに行くが、1度目は用心棒に袋叩きに合い、2度目は薬物を飲まされ放り出され、BIM社の支配に反対して街を捨て洞窟に住むヒッピー集団に助けられる。人気絶頂となった娘は、しかし寂しさが募り、逃げ出して洞窟へ行く。  1年余後、ボスは警察と共に契約違反で100万ドルの違約金を支払わなければならない娘や、かばうヒッピー達を逮捕しに来るが、突然に天からトップスと名乗る救世主(キリスト?)が現れ、ヒッピー達を天に連れ去った。 解説  イスラエルのSFミュージカル舞台劇をメナハム・ゴーラン(Menahem Golan)というユダヤ人の有名監督が1978年に西ドイツでミュージカル映画化した作品です。1977年に『サタデー・ナイト・フィーバー(Saturday Night Fever)』が超ヒットしたので、あやかろうと企画したのでしょう。というわけで、一部で低予算などと書かれていますが、どう見てもかなりお金をかけていて(注1)、ドイツ映画としては大作かもしれません。  名作か? というとたぶんアレですが、音楽自体は(私的には)平凡だけれども、単純なストーリーで何も考える必要はなく、スタイルの良いプロのダンサーが集団で踊っているのを見るのは楽しいし、ユーロっぽい奇抜な衣装や、街の“パーストフューチャー(その時代の人々が考えた未来)”像が面白いのでは? 普通に気楽に見れる映画だと思います。  ドイツ公開時のタイトルは『Star Rock』。米公開時タイトルの『THE APPLE』は、恐らくアダムとイブが食べるリンゴの事で、劇中の幻想場面で娘が悪魔からリンゴを勧められますし、娘の名前は“Bibi”で、聖書を暗示しているようです。BIM社の社長は時々悪魔の姿に見え、他の社員は魔物の様に見えます。救世主がヒッピーを連れ去るのは“最後の審判”でしょうか? 感想(関連写真が悪魔映画のファイル(hexagram.zip)に在ります)  “BIM”は、当時最大手コンピューターメーカーだった米IBM社のモジリだと思われます。国家を支配するBIM社のマークは“三角”で、BIM社の周囲やボスのBoogalowは、用心棒の他に常に警官隊によってガードされています。しかも警官隊のマークも“三角”です。つまり、メディアを使って大衆を洗脳し、各国家の権力と結んで、ときに腕力を使って世界を支配していく“三角”マークの“フリーメーソン”や“米国系大資本”を揶揄(やゆ)しているのでしょう。主な出演者を見ても分るとおり、当時の欧州映画も関係者の多くがユダヤ系で(注2)、まだユダヤオンリーではなかった米国大企業のユーロ進出に猛反対していたわけです。  (参考までに、当時のIBMは、まだユダヤ傘下ではなく、当時最大のライバルAPPLE社は、純ユダヤ企業です)  劇中の街の人々は、BIM社のスターや扇動する曲、下らない下品な放送にすっかり魅了されていて、BIMの“三角”シールを顔に貼らなければならないとか、定時にBIMの放送に合わせて踊らなければならないとか、街の全員がBIMユニット風の服を買って着ているといった事について、まったく疑問を持ちません。むしろ喜んでそれを行なっています。大企業・大手マスメディアによる大衆洗脳の戯画化です。  興味深いのは、上にも述べたようにBIMマークが“三角”で“フリーメーソン”を意図しているのは明らかなのですが、ご存知の様に“フリーメーソン”の中核は“国際ユダヤ”で、映画を作った“ローカルのユダヤ(米国も含む)”と“国際ユダヤ”の間に、まだ溝が有ったようなんですネ、当時は。(あるいはプロレス??)  この作品、ユーロはともかく米国では(たぶん一般ではなくメーソン系に)完全拒絶されたようで、凄く限定公開とされ、当時の主な米映画雑誌は散々に酷評しています。現在ではカルト映画扱いで、過去にも放送メディアでは殆ど流されていないようですし、ネット上でも全くの駄作であるがごとく実際以上に叩かれている感じがします。そのあたりが今の、欧米一体化した“国際ユダヤによる世界的メディア支配”という証しでしょうか。  まあどっちにしても、大手マスメディアが声を大にして言う事(または常に言い続けている事)には、金主権力者の裏の目的が在りますから、いつも眉に唾しておきましょうよ。 注1.最近のネットで、一見してお金が掛かっている昔の映画を低予算と決め付ける人    が増えています。たぶん映画にCGIやコンピューターによる合成が導入されて    以後に物心付いた、現在30才以下の年齢の人が多いと思います。    スタジオを借りてセット一つ作り、小道具一そろい、エキストラ50人集め衣装    を着せ、それを一週間でもキープしたら、一体幾ら掛かるでしょうか? 人件費    の他に、材料費や移動費や宿泊費や光熱費や食費だって掛かるのです。    CGIなら、例えば20機の戦闘機で戦っても、大通りを200人で行進しても    3人の給料2週間分+αで済むかもしれませんが、ミニチュアでそれなりの映像    を作ったり、大通りを借りて衣装を付けて人避けして本当に200人歩かせたら    その10倍のお金がかかると思うなぁ 注2.後ろで踊るちゃんと訓練を積んだスラッと見栄えの良いクリスチャンのダンサー    達。その前で、ユダヤ系であまり見栄えのしない人が主役をする。ユダヤさんは    映画の初期からこのシチュエーション大好き(^^;)。